9月の日記

8日、ドイツ・ブレーメンに留学中の姉の一時帰国に合わせたリサイタルが、無事に終演いたしました。

私は受付や1曲共演があり客席では聴けていないのですが、フルート・トラヴェルソで演奏した古学はやわらかい響きが心地よく、現代音楽は、間近で演奏者を見ることの出来る会場だからこそ、視覚でも楽しんでいただけたようです。

私はバッハ作曲の「ヨハネ受難曲」より第9曲のアリアを共演しました。

この曲には色々な解釈があるのですが、《私は喜びの足取りであなたに従います》という歌詞と相反するような不安定な旋律が随所に現れ、フルートと合わせるとさらに落ち着くところがなく音楽が進んでいくような感じでした。

バッハの細やかな音の動きをぱっちりと歌えるように精進せねばと思います。


アンコールでは、姉のブレーメンでのお友達がM.ドリング作曲のトリオを一緒に演奏して下さいました。 メロディーが本当に美しく、アンケートでも大好評でした。姉も、このアンコールが一番のびのびと演奏出来ていたように思います。2楽章だけだったので物足りないくらいでした。これまで姉を応援してきてくださった方々に留学の成果を聴いて頂けたことを、私も嬉しく思いました。


16日は敬老の日ということで、城巽シニアクラブさまの「すこやかサロンコンサート」に出演させていただきました。

前日から大分に行っており、早朝の新幹線で京都に戻る予定でしたが、台風の影響で足止めをくらってしまいました。

大分では、1泊の短い滞在でとても充実した時間を過ごすことができました。まずは美味しい海鮮を堪能した後、大分市美術館で開催されていた「草間彌生展 永遠の永遠の永遠」へ。あまりの楽しさにおおはしゃぎでした。

そして今回の旅のメイン、大学の先輩方のフルートアンサンブル、

アンサンブル・リュネットさん(大ファンです)の公演は、感動と笑いの連続でした。お手伝いをさせていただいたのですが、演奏を間近で見て、楽しめてとても贅沢な時間でした。


公演が終わった頃から大分では強い風が吹き始め、道を歩くのが怖いほどでした。窓を揺らす風に少し不安を感じながら眠りましたが、京都では始めての大雨特別警報が発令され、大変な状況だったそうです。

大分は次の日すっかり良いお天気でしたが、京都への帰宅は台風を追いかけていくかたちになるので、新幹線も新大阪で止まってしまい、水位が驚くほど上がってしまった桂川を通ることが出来ず、JRもなかなか動きませんでした。

12時半には会場に入る予定をしていたので、焦るばかりでしたが、昼過ぎになんとか帰宅することが出来ました。


会場周辺は雨の被害がなく良いお天気でしたがピアニストが市内へ出てくることが難しく、もしもの時のために、と姉を連れて、ピアノ伴奏がなくても演奏できるレパートリーの楽譜を引っつかんで出発しました。

結局、必死に会場に向かってくれていたピアニストが開演時間に間に合わず、今日はお休みのはずだった姉が大活躍してくれました。

プログラムはまるっと変えてアカペラで数曲、姉の無伴奏を数曲お聴き頂きました。急な変更でしたがお客さまや主催者の方々が温かく迎え入れて下さって本当にありがたかったです。

朗読と無伴奏フルートの為の作品、菅原明朗作曲の《笛吹き女》も久々に演奏しました。日本の昔の言葉を出来るだけ明瞭に表現することを心がけました。敬老の日のコンサートということで和服を準備していたのですが、思いがけずぴったりの選曲となりました。

 《花は咲く》と《千の風になって》、アンコールの《愛燦燦》はなんと弾き語りでお聴き頂きました。私のピアノの腕前をご存知の方には笑われてしまいそうな話なのですが、今回は非常事態ということで、お許しいただきたいものです。


翌日の朝日新聞に写真付きで取り上げて頂きました!

今回の会場ではニューイヤーコンサートでも歌わせて頂く予定ですので、今回演奏できなかったアリアやピアニストの美しいピアノをお聴きいただきたいと思っています。

22日は大阪の大仙公園 日本庭園にて「観月コンサート」に出演させていただきました。

ステージの後方には大きな池があり、とても美しい風景が楽しめました。日本庭園に合わせて衣装は着物で。そして今回のコンサートで初めて、父の修理してくれたミニピアノをお披露目しました。アップライトピアノよりも小さく、鍵盤の数も少し少ないのですがやはり生の楽器の音は広がりが違うなぁと感じました。なんと、ワンボックスカーに積み込んで移動できるサイズです。今後、ピアノがない会場でのコンサートで大活躍してくれると思います。

姉の一時帰国中のコンサートはこれで最後となってしまいましたが、よく遊び楽しい1ヶ月でした。また近いうちにドイツまで会いに行きたいと思っています。


18:15の開演時間には、満員のお客様にお集まりいただきました。19:45頃の終演時間には、残念ながらお月様がまだ出ていませんでしたが、その後庭園を散歩しながらお月見を楽しまれた方も多かったことと思います


プログラムは、月に関した曲を集め、ソロではどちらも初挑戦となる

ヴォルザーク:歌劇『ルサルカ』より 月に寄せる歌、山田耕筰:「澄月集」を歌わせていただきました。

澄月集」は短歌5首に作曲されたもので、日本的な音の中に、山田耕筰が留学で習得したヨーロッパの作曲技法が織り込まれているような魅力的な作品集です。野外ならではの、楽譜が風に飛ばされそうになったり虫さんが突撃してきたりなどのトラブルはありましたが、とても温かい雰囲気に包まれ演奏を終えることが出来ました。

ご来場くださいましたお客さま、支えてくださった皆さま、本当にありがとうございました!

コメントをお書きください

コメント: 1